映画『スパイダーマン：スパイダーバース』は、アメリカで製作されたＣＧアニメ作品です。
第76回ゴールデン・グローブ賞アニメーション作品賞を受賞し、見た人の評価もとても高くなっています。
アメリカではこれまでのスパイダーマンの映画で最高の出来と主張する人もいるほどです。
そんな映画『スパイダーマン：スパイダーバース』ですが、「スパイダーバース」という見慣れない言葉が入っています。
『スパイダーマン：スパイダーバース』という映画タイトルの和訳はどうなるのか？
「スパイダーバース」とはどういう意味なのか？
原作の漫画、コミックはどんな設定や内容なのか？
これらの点について紹介します。
『スパイダーマン：スパイダーバース』の映画タイトルの和訳は？
タイトルの中の「スパイダーマン」は、おそらく誰もが一度でも目や耳にしたことのある言葉だと思います。
そして、スパイダーマンというキャラクターを漫画やイラストで見たことも一度は有るのではないでしょうか。
ですから、映画の題名の中の「スパイダーマン」については、そのままで、意味は分かると思います。
あの赤と青のコスチュームをまとって、クモのような超人的能力を持つスーパーヒーローですね。
でも続く「スパイダーバース」とは名でしょう。
これは和訳されたカタカナ表示を見ると意味はさっぱり分かりません。
「バース」というと、「バースデー」に含まれる「バース」と同じですから、「スパイダーバース」の「バース」は「誕生」という意味だと考える人が多いのではないでしょうか。
残念ながら、外れです。
「スパイダーバース」は、英語の原題にも含まれていて、「スパイダーマン」と同じく、英語の発音をそのまま日本語の近い音に置き換えてカタカナ表示したものです。
その「スパイダーバース」ですが、英語では、”Spider-Verse”と書きます。
「バース」の部分は、日本語で書くと区別が無いため同じになってしまっていますが、誕生の意味の”birth”ではありません。
「誕生」の「バース」とあえて区別して書くなら、「スパイダーバース」の「バース」は「ヴァース」です。
では、”Spider-Verse”の意味ですが、”spider”は「クモ」ですから、”verse”の方が、聞きなれない、見慣れない単語ですから、気になりますね。
“verse”を辞書で調べると、「詩」です。
そうすると、「スパイダーバース」は「クモの詩」です。
妙ですね。
これは違うと思われます。
他の意味は無いのかと思いますが、”verse”はいずれも、詩に関する他の若干の意味があるだけです。
では、”Spider-Verse”という言葉は何のかと言いますと、”spider” と”verse”を組み合わせた言葉ではなく、この言葉全体が”Spider-Verse”の原作コミックでの造語なのです。
ですから、“Spider-Verse”を日本語でぴったりと置き換えることができません。
このため、日本語のタイトルも「スパイダーバース」とせざるを得なかったのでしょう。
「スパイダーバース」の意味を考察
では、「スパイダーバース」、”Spider-Verse”とはどういう内容を表しているのでしょう。
これは、コミックのウェブサイトなどでも説明されておらず、はっきりとは分かりません。
しかし、多少は推測することができます。
まず、ヒントを得るために、映画の英語の原題を見てみましょう。
すると、”Spider-Man: into the Spider-Verse”となっています。
日本語では省かれた”into”があります。
原題をそのまま日本語にすると、「スパイダーマン：スパイダーバースの中へ」となり、「スパイダーバース」は、何かの空間、領域、分野のような広がりを持ったものであることが分かります。
そして、”verse”という語は、”universe”と言った語に含まれています。
“universe”は日本語で「宇宙」や「全世界」を意味し、「1つの」を意味するuniとverseが組み合わせっています。
英語には、”uni”の部分が「複数」を意味する”multi”に置き換えらえた”multiverse”という単語があり、これは「多元宇宙」と訳されます。
私たちが認識している宇宙は1つなので、”uni”な”verse”なのですが、物理学の理論などでは、複数の宇宙、つまり、”multi”な”verse”があると考えられています。
地球に限ってみてみると、みな地球は地球なのだけど、色々な点で違いがあるパラレルワールドみたいなものと考えると分かりやすいかもしれません。
映画「スパイダーマン：スパイダーバース」でも、原作のコミックでも、多元宇宙を構成する複数の”universe”に様々なスパイダーマンたちが存在していて、普段は別の”universe”にいるスパイダーマンたちが、一堂に会するという設定になっています。
これらのことから、映画もコミックも複数のスパイダーマンが存在する多元宇宙”multiverse”を前提としているので、”multiverse”や”universe”の”verse”を、スパイダーマンを指す”spider”につなげてできたのが”Spider-Verse”であるようです。
意味は、スパイダーマン達が活躍する世界や物語という意味を含んでいると考えられます。
スパイダーバースの原作漫画の設定や内容はどうなっている？
スパイダーバースの映画は、コミックを原作として作られていて、コミックの設定の多くを踏襲しています。
映画の主人公マイルス・モラレスも、コミックのキャラクターです。
マイルスのスパイダーマンは、2011年のシリーズもののコミック”Ultimate Comics: Fallout #4″で初登場します。
コミックは、マルチバースよろしく、色々な世界があるのですが、マイルスの住む世界では、元祖スパイダーマンであるピーター・パーカーが死亡し、その後をマイルスが引き継ぎます。
マイルスは、映画でも原作でも、平凡な高校生でしたが、特殊なクモに噛まれて超人的能力を得ることになり、スパイダーマンとして活動し始めます。
マイルスの設定やスパイダーマンになる経緯は、コミックに準じています。
原作漫画でも、映画と同じくマルチバースで、様々な次元で別々のスパイダーマンが存在しますが、映画のストーリーは、原作で描かれているものではなく、オリジナルです。
映画版は、マイルスの設定や、マルチバースで様々なスパイダーマンがいる設定、マイルスの世界にピーターのスパイダーマンなどを原作コミックから拝借し、独自のストーリーを展開させています。
まとめ
・スパイダーバースは、原語が造語である”Spider-Verse”のため、和訳はありません。
・”Spider-Verse”は、スパイダーバースの物語の設定である”multiverse”（多元宇宙）に含まれる”verse”と、スパイダーマンを指す”spider”を組わせて作られていると考えられます。
・”Spider-Verse”の意味ははっきりとしませんが、スパイダーマンたちが活躍する世界や物語といった意味を含んでいると思われます。
・映画の主人公マイルスの設定や経歴、マルチバースの世界観などは、原作コミックに準じています。
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