ポーラー・エクスプレスは、ディズニーやピクサーのCGアニメーションのようなデフォルメされたファンタジーの世界ではなく、リアルな人間が登場するフルCGアニメーションです。
クリスマスイブの日が舞台で、クリスマスシーズンの定番映画です。
ワクワクドキドキする展開は、子どもには大変楽しい点です。
映像がとても美しさいので、大人でも楽しめる作品です。
子ども向けの絵本が原作ですが、物語を貫くメッセージは大人向けのようで、実は大人こそが楽しめる作品なのかもしれません。
子ども心に怖いシーン、不思議なシーンもあって、人によって、子どもの時に見て、怖かった印象が強いという人も多いです。
その1つが、主人公が列車の屋根の上で出会う謎の男。
この男は何者なのか?
幽霊と言われているけど、そうなのか?
これらの点について紹介、考察しみます。
ポーラー・エクスプレスの簡単なあらすじ
サンタクロースを信じられなくなった少年の元に、クリスマスイブの夜、大きな蒸気機関車が現れます。
蒸気機関車の名は「ポーラー・エクスプレス」。
サンタを信じる少年や少女を乗せて北極へと向かうのです。
少年もポーラー・エクスプレスに乗り込むのですが…
ポーラー・エクスプレス号の屋根の上にいる謎の男ホーボーとは?
主人公の男の子は、疾走するポーラー・エクスプレス号の屋根の上に上ると、そこには、まさかの焚火をしている中年の男に出会います。
彼は、乗りたいときに自由にポーラー・エクスプレスに乗り、しかも無賃乗車しているのだと言います。
少年が話しかけると、その男は、クリスマスやサンタを信じないと言い張り、自分を「北極の王」と呼び、「幽霊を信じるか?」などと謎の質問を投げかけます。
かなり、不思議な存在ですね。
しかも、話し終えると、屋根の上を歩いて、そのまま姿を消します。
しかし、その後も少年の前に何度か現れ、少年の危機を救います。
この男は、ホーボーと呼ばれています。
ホーボーというのは、個人の名前ではなく、ある特徴を持った人々の総称なのです。
ホーボーとは、アメリカの19世紀末から20世紀にかけて、働きながら方々を渡り歩いた労働者たちのことです。
鉄道に無賃乗車し、アメリカの自由の精神を体現し、多くの人の憧れの存在でした。
ポーラー・エクスプレスでは、このホーボーに限らず、登場人物の名前がありません。
「車掌」と職業名で呼ばれます。
機関士は、「スモーキー」や「スチーマー」で、これは名前ではなく職業に基づいたあだ名です。
屋根の上の謎の男も、同じくその特徴から、名前ではなくホーボーと呼ばれています。
ホーボーは、突如姿を消したりして、どうも人間でない事だけは確かなようです。
ホーボーの正体は幽霊?
ホーボーの正体は何なのでしょう?
これは、映画では明かされていません。
ホーボーの正体は幽霊ではないかと言われています。
アメリカでは、幽霊ではなく、ジャック・フロストという妖精だという意見もあります。
ジャック・フロストは、「霜男」意味を持ち、イングランドの民間伝承に登場する霜の妖精や怪物を指します。
ボーボーの正体を考察
ポーラー・エクスプレスは、絵本が原作ですから、不思議な設定が多くあります。
物語自体が現実に起きたことなのか、夢だったのかもはっきりしません。
これは元が絵本ですから、別に問題ありません。
映画で大事なことの1つは、物語に登場する大人たちが、主人公の男の子の心の中の側面を体現していると、多くの人が解釈していることです。
車掌は、「サンタクロースは本当にいるのか?」と疑問を持ち始め、ポーラー・市クスプレスに乗車する少年に大事なメッセージを送ります。
『大事なのは行き先ではなく、「乗ろう」と決めたことだ』と名言を残し、できるかできないかではなく、やってみることが大事なのだと説きます。
これは、大人の私たちに対する大事なメッセージです。
子どもたちに理解を示す車掌は、少年のポジティブな心、積極的な心、大事なことを信じようとする心を表しているようです。
ポーラー・エクスプレスは、少年の心の葛藤を描いている。
そう捉えると、ホーボーの正体も推測できます。
車掌以外の代表的な大人であるホーボーは、クリスマスを否定し、サンタを信じません。
こういったことから、ホーボーは、少年に芽生え始めた疑う心、失い始めた素直さや純粋さを体現していると考えられるのです。
映画が元々は絵本であり、絵本ならではの現実世界ではありえない不思議な存在が当然であることや、登場する大人が少年の心の一部を体現したものだと考えれば、ホーボーが人間離れしているのも不思議ではなくなるのではないでしょうか?
このように解釈すると、ポーラー・エクスプレスは、子どもにも楽しいですが、やはり大人向けの作品でもあると言えそうですね。
まとめ
・屋根の上の謎の男はホーボーと呼ばれ、ホーボーは、アメリカで19世紀から20世紀にかけて登場した働きながら移住を繰り返した労働者たちの名称です。
・ホーボーは、人間ではなく、その正体は明かされませんが、幽霊や妖精であると考えられています。
・ホーボーは、少年の疑う心、失い始めた素直さや純粋さを体現していると解釈できます。
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