映画『アリータ:バトルエンジェル』は、ハリウッド製作のSF映画です。
この映画は、日本の90年代のSF格闘漫画『銃夢』を原作としています。
実写映画化にあたり、原作から異なっている点が多くあります。
映画化の際の原作からの変更はよくあることです。
映画の製作がアメリカで、原作がアメリカ以外の国の作品であれば、名称が変わることも良く有ります。
映画の題名も、『銃夢』や、それから連想される言葉は一切含んでいません。
そもそも「アリータ」からして、何なのか良く分かりませんね。
映画タイトルの原題は何で、原作のタイトルとどう関係しているのか?
「アリータ」や「バトルエンジェル」の意味は何のか?
これらの点について紹介します。
映画『アリータ:バトルエンジェル』の原題と原作は
映画『アリータ:バトルエンジェル』の原題は、そのままであり、『Alita Battle Angel』です。
では、この原題はどこから来たのでしょう?
映画は、アメリカで発行されたコミックを原作としています。
そして、アメリカのコミックは、日本の漫画『銃夢』を翻訳したものです。
アメリカのコミックは、『銃夢』の翻訳版ではありますが、名称などについて、いくつか違いがあります。
その1つがタイトルそのものです。
<アメリカ版の漫画のタイトルは、『Battle Angel Alita』なのです。
和訳すれば、「バトルエンジェル・アリータ」ですね。
タイトルのうちの「アリータ」は人物の名前です。
映画版の題名は、このアメリカ版コミックのタイトルをほぼ踏襲しています。
「バトルエンジェル」と「アリータ」の順序が入れ替わっているだけですね。
これが、日本の原作『銃夢』の映画タイトルが『アリータ:バトルエンジェル』となっている理由です。
映画化に当たって、アメリカ版コミックのタイトルを利用したのですね。
映画タイトル『アリータ:バトルエンジェル』の意味は
実写版アリータは、アメリカで発行されたコミック『アリータ』を原作としていて、アメリカ版のコミックは、日本の漫画『銃夢』が翻訳の上で輸出されたものです。
映画タイトルは、アメリカ版コミックのタイトルとほぼ同じであり、”Battle Angel Alita”ですが、元々の『銃夢』の影も形もありませんね。
漫画、映画、小説などを輸出する際に、タイトルを含めて固有名詞が翻訳先の言語で別の言葉に置き換えられることは良くあることです。
翻訳の際、原作中に登場する固有名詞は、多くの場合、そのまま翻訳先の言語でも使われます。
原作で使われる言葉と同じかほとんど同じ言葉が翻訳先の言語にある場合などは、そのまま使われることが多いです。
完全な造語の場合なども、翻訳先の言語で、元の言葉の音になるべく近い単語を作り出して使うこともあります。
一方で、翻訳の際に、固有名詞の一部が全く別の言葉に変えられることもあります。
これは、漫画、ゲーム、小説、商品名などで、良く起こることです。
原作での単語とほぼ同じ発音をする単語が翻訳先の言語にもあるけれども、意味が不適切な場合などは、全く別の発音の言葉に変えられることは良くあります。
『銃夢』と、アメリカの翻訳版のコミックでも、これが起きています。
原作漫画『銃夢』では、主人公の少女の名前は「ガリィ」です。
これは、原作者の造語です。
この「ガリィ」とほぼ同じ発音を持つ言葉が、ちょうど、英語にあります。
それは、”gully”です。
意味は、降水によって集まった水の流れによって地面の表面が侵食されてできた地形のことを指し、極小型の川が干上がった状態を想像してもらえれば、イメージしやすいでしょう。
この”gully”の先頭を大文字にして固有名詞化した”Gully”を、「ガリィ」の英語名にすることは可能でした。
しかし、翻訳の際に”Gully”を使うことはされませんでした。
英語の話者が、主人公の名前としてガリィという音を聞いて、地表の溝を思い描いては、困るということなのでしょう。
原作者も、「ガリィ」という発音の英語の単語があって、それが地表の溝であることを知っていたとしても、知らなかったとしても、まさか主人公の少女に地表の溝のイメージを持たせる意図はなかったでしょう。
単に語感から選んだのだと思います。
そうであれば、アメリカ版でも、そのような妙なイメージが想起されてしまうのは原作者の意図に合わないでしょうから、アメリカ版で”Gully”としなかったのは賢明な選択だったと言えそうです。
こうして、Gullyを避けて、「アリータ」が使用されることになりました。
では、”Alita”という名前は、どこから来たのでしょう?
これは、明らかにはなっていません。
しかし、日本の原作でも、「アリータ」に似た「アリタ」という語が登場します。
アリタは、仮想現実システム「ウロボロス」の中でのガリィの呼び名です。
アメリカ版での通名Alitaは、ここから付けられたのかもしれません。
また、Alitaという語はスペインで広く使われる名前で、アメリカ人にとって、アメリカ的でない名前がフィクションの世界の主人公を思い起こさせる役割もありそうです。
“Alita”の語源は、ラテン語の”elite”で、意味は日本語でもおなじみの「エリート」で、優れた者という意味です。
この点も、格闘技術に長けた主人公の名前にピッタリですね。
なかなか良い名前に思えてきませんか?
映画タイトルの中の残る「バトルエンジェル」の方は、「戦闘の天使」という意味です。
アメリカ版を発行するにあたり、主人公の名前をタイトルの中心に据え、これだけでは内容が想像しづらいので、どういった人物なのかを「バトルエンジェル」という言葉で表現しようとしたのでしょう。
アメリカ版コミックのタイトルは、アメリカ人の好みというか、アメリカ人に伝わりやすい表現だったのだと思われます。
“Battle Angel Alita”というアメリカ版コミックのタイトルは、日本の原作のタイトルとは全く異なるものの、アメリカ人に伝わりやすい、良いタイトルだったのではないでしょうか。
だからこそ、映画のタイトルも、これを踏襲したのでしょう。
まとめ
・映画『アリータ:バトルエンジェル』の原題は、『Alita Battle Angel』で、日本の漫画『銃夢』のアメリカ版コミック『Battle Angel Alita』を原作としています。
・映画タイトルのうちの「アリータ」は、日本版の主人公の名前「ガリィ」のアメリカ版の名前で、バトルエンジェルは「戦闘の天使」という意味です。
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